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おかえり

05 27, 2010 | イギリス

3 Comments
おかえり

 ロンドンにいるのだからと、僕はその日大英博物館へと向かった。ロンドン名物の赤い二階立てバスに乗り、博物館を目指す。バスを降りて少し歩いていると、大きな大きな建物が見えてくる。博物館の入り口付近には、沢山の人がいる。

JPG524 (9)

JPG524 (8)

 博物館に入ると、地域ごとにたくさんの文化遺産が並べられている。

jpgYUJI (1)

 二階に上がり、北側の部屋に行くと、本物のミイラがいくつか展示されている。1つは少し衝撃的なものだ。人がそのまま干からびた様な、そんな姿だ。まるで、痛みに耐えながら死んでいったように、足を曲げて、手を顔の前に置いて、呻いているような、その呻きが、今まさに聞こえてきそうな姿だ。
 
何年も、何百年も、何千年もの間、この姿のままで、残っているという事実は確かにすごい。でも、何となく、こういうものを見ていると、不思議な感覚になる。この人は偉い人だったのだろうか。ミイラにするということは、そういうことなのか。
 他の数個は、型に入っていたり、ぐるぐる巻きにされていたりして、その人自身をみることは出来ない。
JPG524 (2)
 
 その部屋の奥の道の階段を上ると日本の部屋になる。日本の文化を、海外で見るというのも、面白い。他の部屋と比べると、少し近代的な物が多かった。篠山紀信の写真(舞妓はん)や水木しげるの妖怪漫画なんかも展示されている。
 見比べていくと、こんなにも世界はそれぞれの文化を育んでいる。場所によって、全く別物の世界を作り出している。

JPG524 (1)

 大英博物館の見学を終えて、博物館の入り口のベンチに腰掛けてガイドブックを読んでいた。すると、ロゼッタストーンという名前が載っている。聞いたことがあるな、僕はそう思い、もう一度大英博物館に入り、ロゼッタストーンの場所へと向かった。入り口に着いた所で時間は5時28分。閉館が5時30分。僕はギリギリのところでロゼッタストーンを見逃した。入り口から、ロゼッタストーンらしきものは見えた。
 僕はそれでいい、とした。

 博物館を出て、タワーブリッジへと向かう。ヨーロッパに入ってから、暗くなるのが9時半頃だ。妙な感覚に囚われながら6時を回っても、昼間のように明るい街を歩く。

JPG524 (3)

 1時間程歩いたところで、タワーブリッジが見えた。テムズ川に掛かる大きな跳ね橋だ。感想は、特にない。

JPG524 (5)

 そこで、しばらくベンチに座る。また、赤い二階立てのバスに乗って、宿に戻った。

翌日、昼12時のバスに乗り、パリへと向かう。今回もぎゅうぎゅう詰めのバスはドーバー海峡を目指して走る。 
 行きは、多分列車で運ばれたのに、今回は船だ。船は、列車と違い、のんびりとドーバー海峡を進んでいく。
 かもめが船と全く同じスピードで飛んでいる。甲板から、海を見ると海は、ひどく濃い色をしている。船の周りにだけ白い泡のようなものが出来る。その泡はビールの泡よりも多分柔らかくて、シャボン玉よりもすぐに消えてなくなる。そんな泡に見える。
 風が強く、僕の伸びた髪が風に揺れる。そこで、何気なくI podでメールを確認していると、今日泊るはずの宿がクレジットカード番号を間違えたらしく、キャンセルになっていることに気付いた。
 どうしようか。僕は焦ったが、まぁなんとかなるか、と軽く考えていた。

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 パリに夜の8時半に到着した。取りあえず予約した場所に行ってみる。フルだ、と断られた。もうそろそろ、薄いオレンジ色の空は、どこからともなくやってくる闇に連れて行かれそうだ。
 ガイドブックに載っている宿を2軒程あたってみるが、どこもフルだった。
 僕の野宿が決まった。旅に出て4カ月半。初めての野宿だ。駅にでも行けば、なんとかなる気がしていた。東欧の方では、夜中3時発の列車や4時着の列車があったはずだ。駅で座っていれば、なんとかなる。今夜だけだ。
 僕は、望みをかけて駅へと向かう。

 駅は閑散している。今は夜の10時45分。電光掲示板を見る。最終は11時45分だ。これはどういうことか。とりあえず、薄暗い駅の中で座る。すると、1時間もしないうちに、旅人風の人が1人、2人と増え、12時前には5人が駅の待合所で座っていた。
 僕は何となく、大丈夫なんじゃないかと思った。12時半、1人2人と眠る態勢に入る。僕は体育座りで、時間が経つのを待つ。
 1時になる少し手前、警察とドーベルマンがやってきた。僕らは、一様に駅を追い出された。夜の世界に取り残された僕は、明るい24時間営業のバーの近くに座った。万が一襲われても逃げ込めるようにと。
 旅に出て、初めて見るかもしれない外国の夜。深淵のような暗闇にオレンジ色の街灯がポツポツと灯り、まるでゾンビのように、フラフラと歩くホームレス。救急車の音が、街に響いている。
 
あるとき、救急車が猛スピードで、街を駆けてきた。すると、1人のおじさんが轢かれたフリを大げさにしていた。「うぉぅ!!」と言いながら大げさに転ぶ。救急車は止まらない。
おじさんは、おずおずと立ち上がり、公衆電話に向かい、自分で消防署に電話をし始めた。数分後に救急車が現れ、おじさんは、救急隊員にきつく叱られていた。すごい世界だな。僕は単純に感心する。それ以上の恐怖心を自分の中に押し込めて。
 朝の5時になれば、なんとかなる。その思いだけで、僕は時間が経つのを待つ。眠ってしまえばあんなにも朝は素早く迎えに来てくれるのに、今夜、光は僕をなかなか迎えに来てはくれない。
 
 毎日訪れるはずの朝が、こんなにも待ち遠しい。5時半頃、空が明るくなり始めた。僕は、太陽におかえり、と言いたくなった。

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 それでは皆さん良い日々を!
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« 生きる ロンドン »

- Comments
3 Comments

おじちゃまv-238こんにちわ
野宿、大丈夫でちたか?ちなみに、野宿ってなんでちゅか?夢晴はもうすぐ1歳のお誕生日でちゅよ。
最近は、夜になると2人で、寝ぼけて、お父ちゃまの顔をグーで殴ったり、お母ちゃまの鼻に頭突きをしたりしてるそうでしゅv-7
ちなみに頭突きって何でしゅか?
帰ってきたら、赤ちゃんせんべいをくだしゃいね。赤ちゃんせんべいを食べながらお母さんと一緒を見てる時が一番幸せでしゅv-221
じゃあ、ばいばーいv-221

by 夢晴 | 05 28, 2010 - URL [ edit ]

野宿かあ…日本でもやったことないけど、やむをえずとはいえ、すごいなあ…今夜はふかふかのベッドでぐっすり眠れることをパリの反対側から祈っています。

by ねこナッツ | 05 28, 2010 - URL [ edit ]

>夢晴 ゆめとはるが元気そうな姿が本当に嬉しいです。赤ちゃんせんべいだって、今すぐにでもあげに帰りたい位。
お母さんと一緒をみるなんて、赤ちゃんとして優等生だ。
その調子で、健やかなる成長を祈っていますよ、おじさんは。


>ねこなっつさん 野宿は大変な不安が伴いますね。野宿はやはりキャンプ場に限りますね!
ベッドで眠れるということは、本当に幸せなことですね。
ありがとうございます。

by ゆうじ | 05 30, 2010 - URL [ edit ]

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